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遭難事例に学ぶ安全登山

まず、こちらを見てください。こちらは、山梨警察発表の、平成11年中の7月8月の遭難事例です。
山梨管轄ですので、これは富士吉田口に限られます。富士宮や須走からの遭難者は含まれないことにご注意ください。また、警察扱いですので、このほかにも疲れ果ててとか、高山病でブルで下ろされた、とか統計にあらわれない遭難、というのは、きっと「毎日のように」起きているものと思われます。


7月12日(月) P2:20頃  富士山 六合目
  ツアー登山の女性(58歳)が、登山中に発病(死亡)

7月24日(土) A2:30頃  富士山 山頂
  ツアー参加の男性(59歳)が、悪天候を無視して 山頂を目指し、お鉢巡り中に火口へ転落(死亡)

7月25日(日) A4:30頃  富士山 九合目
  ツアー登山の男性(25歳)が、御来光を拝んでいた ところ山頂からの落石が直撃(重傷)

7月26日(月) A3:50頃  富士山 山頂付近
  ツアー参加の女性(59歳)が、お鉢巡りの最中 浮き石につまずいて転倒(重傷)

7月30日(金) A6:00頃  富士山 八合目
  ツアー参加の小学生男子(12歳)が、高山病となり 救助要請(無事救出)

8月 1日(日) A8:00頃   富士山 八合目
  ツアー参加の女性(64歳)が、登山中にバランスを崩して 後方に転倒(軽傷)

8月 2日(火) P4:10頃   富士山 八合目
  ツアー参加の女性(52歳)が、登山中に足を滑らせ て転倒(重傷)

8月 3日(火) A7:00頃   富士山 八合目
  ツアー参加の男性(65歳)が、山頂からの下山中 足を滑らせて転倒(重傷)

8月 4日(水) P2:00頃   富士山 七合目
  ツアー参加の男性(71歳)が、登山中に発病(死亡)

8月12日(木) A7:00頃   富士山 六合目
  ツアー参加の女性(63歳)が、下山中に足を滑らせ 転倒(重傷)


で、まあ、見てもらうとわかるのですが、

富士山で一番怖いのは病死!

です。病死といっても、高山病ではありません。心筋梗塞などの、いわゆる生活習慣病です。
空気の薄さは地上の3分の2。体には確実に強い負担がかかる富士登山ですから、地上ではなんとか人並みの生活ができても、爆弾を抱えての登山は最悪の結果に繋がってしまうこともあります。

病死の次に死ぬ可能性が高いのは落石!

です。それも、人がおっことしたりする人工落石は、しょせん「石」ですので当たっても痛いか、骨が折れるとかですが、とくに怖いのは自然落石。1mもある大岩がヒットしたらどうでしょう。
たとえば、昭和50年頃に吉田口(旧)5合目付近で大落石があり、この付近で十数名が死亡しています。今は登山道がつけかえられています(だから吉田口は登山道が登らずに横へ行ってしたり、下山の最後は登り、というヘンな構造になっているんです)が、それでも吉田口の5合目周辺は今でもちょっと危険、と聞いています。それから、平成11年には御殿場口の山頂付近で1人亡くなっていますが、このあたりも僕の目から見るとやはり危険、という印象です。須走は両登山道から比べれば比較的安全ですが、これも比較問題ですので、決して100%ではありません。落石の通り道(上を見上げたときに、砂などが流れた跡がある場所や、地面がえぐれている場所、不安定な石のある場所など)付近での休憩は慎むこと、下を向いて休まないことが休憩の2大原則です。

富士山の場合、とくに注意が必要なのは上の2点です。
ただ、これ以外にも豪雨、落雷などといった危険は、あげていったらきりがありません。何もなければ簡単に登れる富士山とはいえ、3776mもある山ですから、何か起きたときに初心者のみのパーティで対処できるかは、ちょっと僕は心配です。従って、初心者のみのパーティでの登山は、僕は小屋のあいている時期でも基本的におすすめしません。できれば経験者にリーダーをお願いしたほうが、僕は安全だと思います。


日の出前に悪天候を無視してお鉢めぐりを強行、火口に転落、なんていうのは論外ですが、遭対もこんなアホな救助に駆り出されて可哀想だったろうに・・・足元も見えないほどの悪天でお鉢めぐりしたって面白くもなんともないですけど、
意外とお鉢めぐりは危ない!
富士登山に比較してお鉢巡りが危ない、という意味ではなく、急な登山道ではみんな慎重でも、お鉢めぐりは「山頂でのひととき」だと思われて、注意が散漫になりがちです。とくに剣が峰と富士宮口頂上の間は滑りやすいので、お鉢をめぐるときには改めて兜を締め直し、登山中と同じくらい慎重にお鉢めぐりを楽しむ必要があります。


さて、上にあげた遭難事例は100%ツアー登山ですが、決してツアー登山が危険だ、とはいえません。吉田口はツアー登山の割合が非常に高いので、たまたまツアー登山者ばかりになってしまったのでしょう。
逆に言うと、ツアーに参加せず、自力で登るのなら安全か、というと決してそんなことはありません。自力で登る場合でも充分安全には注意する必要があります。ただ、ツアーの人は、充分な下調べもせずに安直に登ってしまう傾向があることは否定できません。しかし、これを見てもわかる通り、

ツアーといえど、決して100%安全なわけではない
ということに注意して、自分の身は自分で守るようにしないといけません。


むしろ危険なのは年齢で、これはどこの山でも共通なのですが、
中高年者は事故を起こしやすい!
ということが言えます。
とくに普段あまり山登りをされない脚力のあまり強くない人がいきなり富士山にきて、登ったはいいけどバランスを崩したときに踏ん張りがきかず、そのまま転倒、というのが上でいう転倒の原因でしょう。雨で岩が濡れているときは岩自体が滑りやすいので、さらに注意が必要です。

富士山には前岳や穂高岳のように1000mも薙ぎ落ちている場所はないので、後頭部でも打たない限り転倒が死に繋がることはありませんが、たとえ死ななくても事故を起こしてしまっては台無しです。

おまけにもう1つ挙げておきます。
最後に危ないのは、装備不十分!
上の例には出てきませんが、雨具も持たずに富士山に登って、夕立に合って足を滑らせて動けなくなる。
9月あたりに疲労で歩けなくなり、岩陰で体温が下がって死ぬ寸前のところを助けたとか、強力(ごうりき=昔の富士山ガイドのこと)さんが書いた本なんかにはそういったエピソードが必ず出てきます。
いくら夏といえど、富士山は雨の中着のみ着のままで一晩過ごせるほど甘い山ではありません。最低限雨具、防寒具、ヘッドライト、なにがしかの水と食料は、必ず持っておかなければなりません。
雨具と靴、とくに上下別体の雨具は絶対に忘れないこと。靴もできればちゃんとしたハイキング用のものを用意された方が、滑ってブルで下ろされて病院通いしたらきっと靴が100足以上買えるお金が出て行ってしまいます。


夏の富士山での遭難事故は、上にあげたような事故がほとんどですので、このポイントを押さえれば、富士山は安全に楽しく登ることができると思います。

(2015.5.8 7:10)(by script)

(2015.5.8 9:1)(by script)




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