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はじめての停滞

僕はほとんど停滞経験がない。天候の変化によって停滞を余儀なく
されるような連泊縦走の経験はさほど多くない、というのもあるが、
あまり悪天につっこまないようにしているのも1つの理由である。


人生初の、停滞ってやつを経験したのは、2008年の8月のことだっ
た。このときは新穂高から入って雲ノ平経由で読売新道を下るプラ
ン。夏の縦走としてはちょっと短めにして、その代わり読売新道を
絡めたちょっとハードな山行に仕立てた。

順調に新穂高から、双六、五郎、太郎、と詰めて、晴天の雲ノ平。
雲ノ平で晴天にあたったのは初めてでした。

ですが、もう足があがりません。絶景の雲ノ平を脂汗で歩きます。
いちばんの急坂は調子よく上がってきたけど、それで息切れしちゃっ
たのか、なんかお昼に悪いものたべたか?

あの丘の向こうに雲ノ平の小屋があるはずなのに、と思ってほう
ほうの体で歩きます。ホントはここは日本で最も高所の高原を楽
しむべきところなのに、見えてるだけに遠いんだよなーとなんか
脂汗を流しながら歩いて、ようやく小屋の前にやってきます。やっ
てきて、荷物を投げ出して、荷物によっかかります。

相方がビールを頼んだのでつきあいで1本頼みますが、大きい方
は胃が許さない気がしたので、小さいほう。口をつけると頭がガ
ンガンしてきました。風邪だ…

というか、これ脳水腫だったりしないよな。もう4日目なのにな
んかテントに入ると息苦しい気がしていつまでも高度慣れしない
気がするし、肺水腫はいちおう症状知ってるけど、脳水腫はどう
だったかなあ。あーんーでも咳も出てるし、これは多分風邪。と
は思いつつも、少し弱気になってしまいます。とりあえず、少し
ザックによっかかってぐったりしよう。

と思ったら、相方そのまま30分離れたテント場まで行こう、っ
て連行されて、もうテント場でぐったりですよ。

で…

結局翌日、人生初の停滞。風邪で。
そのときのことを、こう書いている。

「テントから顔を出してみる。原色の青と白しかない。暑いのでフ
ライだけはあけてあるが、さりとて外へ出るような体調でもなくひっ
くりかえったままでいる。周囲のテントはおおかた出払って人気も
なくなった。温泉行くかどうか聞かれたけれど、結局断った。」
「(本来なら)夢の平とかいう別天地でお湯につかる。1日2日3
日4日、歩いて、結局肝心なところで温泉はナシになってしまった。
去年と一昨年と低調な年だったのに、今年も何か良くなくなってし
まった。
絶好の青空で、テント場の入り口までのぼりかえせばたぶん黒岳な
んかがこうバーンと目の前に見えたりしていい気分になれるのだろ
う。だが、高山の風邪は呼吸器に効く。空身でトイレまで下って、
登り返してきただけでぜーぜー言うような状態である。温泉どころ
ではない。まず、帰れるかどうかを心配しないといけない。」

「なんで、山はじめて初の山中の風邪が、よりによってこんな登山
口から遠い雲ノ平なのかなあ。」
ちらと、ヘリで下山が頭をよぎる。
「手元のパブロンの袋を眺める。その数、二袋。2袋しかないから
うまく使わないといけない。一包飲めば4時間くらいは効いている
はずだ。隣の三俣山荘まで歩けば診療所があるから、とにかくこの
間を薬で散らして歩いてしまえばいい。双六までいければ自力下山
する自信がある。」

そして、この翌日は雨。もう1日停滞という手もあったのだが、な
にしろテントの申し込みをするのに小屋まで往復1時間。だったら
三俣山荘まで行った方がいい。雨の中、風邪はパブロンで散らして、
双六へエスケープすることになった。

かくして、僕はいまだに読売新道を歩いていない。

(2011.2.25)

(2015.5.7 13:11)(by script)




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